歯が完全に抜けた(脱落)
ゴールデンタイム:30分以内
脱落後30分以内に適切な処置を行えば、再植成功率は約90%です。時間が経つほど成功率は低下します。
緊急対応
STEP 1歯の持ち方
- 歯冠部(白い部分)を持つ
- ×歯根(根っこの部分)は絶対に触らない
- ×水道水で洗わない(歯根膜が死滅します)
STEP 2保存方法
以下の優先順位で保存してください:
- 1
歯牙保存液(薬局で購入可能)
最も理想的。常備をおすすめします。
- 2
牛乳
歯根膜細胞の生存に適した浸透圧。常温で可。
- 3
生理食塩水
0.9%食塩水。無い場合は口の中(頬と歯茎の間)に入れる。
STEP 3すぐに歯科医院へ
一刻も早く歯科医院に連絡し、来院してください。
夜間・休日の場合も、当院の緊急連絡先にお電話ください。
治療方法:再植術
脱落した歯を元の位置に戻す治療です。時間との勝負であり、30分以内であれば成功率は約90%、1時間以内で約75%です。
治療の流れ
- 1歯と歯槽窩(歯が入っていた穴)の洗浄
- 2歯を元の位置に戻す(再植)
- 3固定(2〜4週間)
- 4根管治療(必要に応じて)
- 5定期検診(経過観察)
予後・経過観察
推奨される検診スケジュール
- 受傷後 1週間
- 受傷後 1ヶ月
- 受傷後 3ヶ月
- 受傷後 6ヶ月
- 受傷後 1年(以降は年1回)
注意すべき症状
- 歯の変色(グレー・黒ずみ)→ 歯髄壊死の可能性
- 痛みや腫れ → 感染の可能性
- 歯の動揺 → 再固定が必要な場合あり
- 膿が出る → 早急な処置が必要
研究結果
歯牙保存液や牛乳中での保存により、歯根膜細胞の生存率が有意に向上し、再植後の予後が改善されることが報告されています。乾燥状態での保存は避けるべきです。適切な処置と経過観察により、10年以上機能する例も多くあります。
Andreasen JO et al., Dent Traumatol 2012