拡大床(かくだいしょう)
顎を横に広げて永久歯のスペースを確保する、
こども矯正で最も一般的に使用される装置です
拡大床とは
取り外し可能なプレート型の矯正装置
拡大床の仕組み
拡大床は、プラスチック製のプレートと金属製のワイヤーで構成された取り外し式の装置です。中央に組み込まれた「拡大ネジ」を定期的に回すことで、少しずつ顎の骨を横に広げていきます。
1プレート部分
上顎または下顎の歯列に沿ったプラスチック製の床
2拡大ネジ
中央の金属ネジを回すことで装置が少しずつ広がる
3クラスプ
装置を固定するための金属製のバネ(ワイヤー)
上顎拡大床
上顎の歯列を横に広げる装置。上顎は左右の骨が中央で結合しているため、成長期であれば骨自体を広げることが可能です。
適応症例
- •上顎が狭く、永久歯のスペース不足
- •交叉咬合(奥歯の咬み合わせが逆)
- •叢生(歯が重なっている)
下顎拡大床
下顎の歯列を横に広げる装置。下顎は一体の骨のため、主に歯列の傾斜を改善します。
適応症例
- •下顎の叢生(歯が重なっている)
- •前歯が内側に倒れている
- •上顎拡大との併用治療
拡大床のメリット・デメリット
拡大床を選択する前に知っておくべきポイント
メリット
取り外し可能
食事・歯磨き時に外せるため、衛生的で日常生活への影響が少ない
むし歯リスクが低い
装置を外して歯磨きができるため、固定式に比べてむし歯になりにくい
痛みが少ない
少しずつ拡大するため、痛みや違和感が比較的少ない
費用が比較的安い
固定式装置に比べて製作費が安く、治療費を抑えられる
緊急時に外せる
スポーツや楽器演奏など、必要に応じて取り外せる
抜歯を回避できる
早期に顎を広げることで、将来的な抜歯を避けられる可能性が高まる
デメリット
装着時間を守る必要がある
1日12〜14時間以上の装着が必須。お子さまの協力性が求められる
紛失・破損のリスク
取り外し式のため、紛失や破損の可能性がある(再製作費用が発生)
発音への影響
装着時は発音がしづらく、慣れるまで数日〜数週間かかる
効果が装着時間に依存
装着時間が短いと効果が出ず、治療期間が延びる
適応症例が限定的
重度の不正咬合や骨格的な問題には効果が限定的
後戻りのリスク
拡大後、保定装置を使用しないと後戻りする可能性がある
使用方法と装着時間
効果を最大限に引き出すための正しい使い方
推奨装着時間
最低装着時間
効果を出すための最低ライン。これ以下では治療効果が期待できません
理想的な装着時間
より確実な効果を得るための推奨時間。就寝時+日中の数時間
装着タイミング
- 就寝時:必ず装着(8時間)
- 帰宅後:夕方〜夜(4〜6時間)
- 学校:基本的に不要
装着中に外す時
- ✓食事の時
- ✓歯磨きの時
- ✓スポーツをする時
- ✓楽器を演奏する時
ネジの回転
- •頻度:週に1〜2回
- •方法:専用キーで90°回転
- •担当:保護者の方が実施
装着時間が不足すると…
- •拡大した顎が元に戻ってしまう(後戻り)
- •治療期間が大幅に延びる(6ヶ月 → 12ヶ月以上)
- •最悪の場合、治療を中断せざるを得ないことも
拡大床のお手入れ方法
清潔に保つための毎日のケア
毎食後の洗浄
装置を外した後は、必ず水またはぬるま湯で洗います。歯ブラシを使って優しくこすり、食べカスや汚れを落としましょう。
注意:熱湯は使用しないでください。プラスチックが変形する恐れがあります。
週に1〜2回の念入り洗浄
入れ歯洗浄剤(ポリデントなど)を使用して、装置を浸け置き洗いします。臭いや着色を防ぎ、清潔に保てます。
方法:コップに水と洗浄剤を入れ、装置を15〜30分浸す → 水でよくすすぐ
保管方法
使用しない時は、専用ケースに入れて保管します。ティッシュに包むと誤って捨ててしまうリスクがあるので注意。
✓ 良い保管方法
- • 専用ケースに入れる
- • 風通しの良い場所に置く
- • 直射日光を避ける
× 悪い保管方法
- • ティッシュに包む
- • ポケットに入れる
- • 高温の場所に置く
拡大床治療の流れ
初診から治療完了までのステップ
初診相談
30分お子さまの歯並びを拝見し、拡大床治療の適応かどうかを判断します。治療の流れ・期間・費用について詳しくご説明します。
精密検査
60分レントゲン撮影、口腔内写真撮影、歯型採取を行います。顎の骨の状態や歯並びを詳しく分析します。
診断・治療計画
30分検査結果をもとに、具体的な治療計画を立てます。拡大量や治療期間、装着時間などを決定します。
装置の装着
30分製作した拡大床を装着し、使用方法・ネジの回し方・お手入れ方法を丁寧にご指導します。
定期調整
月1回・20分月に1回通院し、拡大状況を確認します。必要に応じて装置の調整を行います。
拡大完了・保定
6〜12ヶ月後目標とする拡大量に達したら、後戻り防止のため保定装置に移行します。数ヶ月間の保定期間が必要です。
よくある質問
拡大床に関する保護者の方からのご質問
Q1痛みはありますか?
拡大ネジを回した直後は、少し圧迫感や違和感がありますが、強い痛みはほとんどありません。多くのお子さまは2〜3日で慣れます。もし痛みが強い場合は、ネジを回すペースを遅くするなどの調整が可能です。
痛みの程度
- •ネジを回した直後:軽い圧迫感(1〜2時間程度)
- •2〜3日後:ほとんど気にならなくなる
- •調整可能:痛みが強い場合はペース調整できます
Q2学校に装着していく必要がありますか?
基本的には不要です。拡大床は就寝時と帰宅後の装着で十分効果が得られます。ただし、より早く治療を進めたい場合や、医師が必要と判断した場合は、学校でも装着をお願いすることがあります。
基本的な装着時間
- 就寝時(必須)
- 帰宅後〜就寝前
- 合計12〜14時間/日
学校での装着
- •基本的に不要
- •早期治療希望時は検討
Q3食事中は外しますか?
はい、必ず外してください。装着したまま食事をすると、装置が破損したり、食べカスが詰まって不衛生になります。食事後は歯磨きをしてから再度装着しましょう。
食事中の注意事項
- 装着したまま食事NG:装置破損の原因
- 食べカス詰まり:不衛生でむし歯リスク増
- 正しい手順:外す → 食事 → 歯磨き → 装着
Q4何歳まで使えますか?
上顎拡大の場合、骨の成長が期待できる9〜10歳頃までが最も効果的です。それ以降でも歯列の拡大は可能ですが、骨自体を広げる効果は減少します。下顎拡大は年齢による制限が比較的緩やかです。
上顎拡大
- •最適年齢:3〜9歳
- •10歳以降:効果は減少するが可能
- •骨の成長期が鍵
下顎拡大
- •年齢制限:比較的緩やか
- •歯列傾斜改善が主目的
Q5拡大後、元に戻ることはありますか?
拡大直後は後戻りのリスクがあります。そのため、拡大完了後も数ヶ月間は保定装置として使用を続けます。指示通りに装着すれば、後戻りはほとんど起こりません。
後戻り防止のポイント
- 1.保定期間:拡大完了後3〜6ヶ月間継続使用
- 2.装着時間:徐々に減らしていく
- 3.定期検診:月1回のチェックで安心
指示通りに装着すれば、後戻りはほとんど起こりません
Q6費用はどのくらいですか?
当院では1期治療全体(拡大床含む)で35〜45万円です。トータルフィー制度のため、治療途中で追加費用が発生することはありません。詳しくは費用ページをご覧ください。
費用の内訳
- •1期治療費:35〜45万円(拡大床含む)
- •トータルフィー制:追加費用なし
- •含まれるもの:検査・診断・装置・調整・経過観察