不正咬合の種類

過蓋咬合(かがいこうごう)

通称:ディープバイト

過蓋咬合は、上の前歯が下の前歯を深く覆いかぶさっている状態です。正常な咬合では上の前歯が下の前歯を2〜3mm覆いますが、過蓋咬合では下の前歯がほとんど見えなくなります。放置すると歯茎を傷つけたり、顎関節症のリスクが高まるため、早期治療が重要です。

過蓋咬合の特徴

1見た目の特徴

  • 下の前歯が見えない:上の前歯が下の前歯を深く覆い、下の前歯がほとんど見えません
  • ガミースマイル:笑うと歯茎が見えすぎることがあります
  • 顔が短く見える:下顔面が短く、顎が小さく見える傾向があります
  • 口元が引っ込んで見える:上下の唇が内側に引っ込んで見えることがあります

2機能面での問題

  • 歯茎の損傷:下の前歯が上顎の歯茎を突き上げて傷つけることがあります
  • 顎関節への負担:噛み合わせが深いため、顎関節に過度な負担がかかります
  • 咀嚼効率の低下:奥歯がしっかり噛み合わないことがあります
  • 前歯の摩耗:前歯に過度な力がかかり、歯がすり減りやすくなります
  • 下唇を噛む:下唇を噛んでしまうことがあります

!放置した場合のリスク

  • 歯茎の退縮:下の前歯が上顎の歯茎を突き続けることで、歯茎が下がります
  • 顎関節症の発症:顎関節に過度な負担がかかり、痛みや開口障害を引き起こします
  • 前歯の破折リスク:前歯に集中する咬合力により、歯が割れるリスクが高まります
  • 奥歯の機能低下:奥歯が噛み合わず、咀嚼機能が低下します

早期発見・早期治療が重要:過蓋咬合は見た目では分かりにくいことがありますが、放置すると様々な問題を引き起こします。7〜10歳頃での治療開始が理想的です。

過蓋咬合の原因

1遺伝的要因

  • 骨格的な問題:下顔面が短い、または垂直的な成長が不足する傾向が遺伝します
  • 顎の大きさ:下顎が小さい、または後方に位置する骨格が遺伝することがあります
  • 前歯の萌出位置:上の前歯が下方に、下の前歯が上方に生える傾向が遺伝します

遺伝の影響:親が過蓋咬合の場合、お子様も同様の傾向を持つ可能性があります。早期治療により成長をコントロールすることで改善が可能です。

2環境的要因(後天的な要因)

  • 奥歯の早期喪失:乳臼歯を虫歯で早く失うと、前歯が深く噛み込むようになります
  • 下唇を噛む癖:下唇を噛む習癖があると、上の前歯が内側に倒れて過蓋咬合になります
  • 軟らかい食事:よく噛まない食生活は顎の発育不足につながります
  • 頬杖(ほおづえ):下顎を圧迫する姿勢が習慣化すると、下顎の成長が抑制されます
  • うつ伏せ寝:常にうつ伏せで寝ると、下顎の成長が妨げられます
  • 猫背・姿勢の悪さ:スマートフォンの見すぎなどで猫背になると、下顎が後方に押され、過蓋咬合を悪化させます
  • 歯ぎしり・食いしばり:強い咬合力により奥歯がすり減り、咬合が深くなります

習癖と虫歯予防が重要:下唇を噛む癖や頬杖などの習癖を早期に改善し、乳歯の虫歯を予防することで、過蓋咬合の進行を防げます。

治療方法

11期治療(7〜12歳頃)

成長期を利用した咬合の挙上(浅くすること)が中心です。この時期の治療が最も効果的です。

  • 機能的マウスピース装置:プレオルソなどで下顎の成長を促進し、咬合を浅くします
  • バイトプレート:奥歯を挺出(伸ばす)させて咬合を浅くします
  • 上顎前歯の圧下:上の前歯を歯茎の方向に押し込みます
  • 下顎の成長促進:機能的矯正装置で下顎の成長を促進します
  • 習癖の改善:下唇を噛む癖や頬杖などの習癖を改善します

1期治療の目標:適切な咬合の深さを確保し、上下の顎のバランスを整えることです。早期治療により歯茎の損傷や顎関節への負担を防ぎます。

22期治療(12歳以降〜)

永久歯が生え揃った後に、歯の位置を細かく調整する段階です。

  • マルチブラケット装置:前歯の圧下と奥歯の挺出を正確に行います
  • 歯科矯正用アンカースクリュー:上の前歯を効果的に圧下するために使用します
  • 咬合挙上:ブラケットと特殊なワイヤーで咬合を浅くします
  • 保定装置:治療後は後戻りを防ぐため、リテーナーを使用します

3主な使用装置

機能的マウスピース装置

プレオルソなど。下顎の成長を促進し、咬合を浅くします。

1期治療

バイトプレート

奥歯を挺出させて咬合を浅くする装置。取り外し可能です。

1期治療

機能的矯正装置

下顎の成長を促進し、上下のバランスを整えます。

1期治療

部分矯正装置

前歯の圧下を早期に行う装置。永久歯前歯部に使用します。

1期治療

ブラケット装置

歯の表面に装着し、垂直的な位置を正確にコントロールします。

2期治療

4治療期間と費用の目安

1期治療(7〜12歳頃)

治療期間

1〜3年程度
(永久歯が生え揃うまで経過観察を含む)

費用

30〜50万円程度
(調整料:1回3,000〜5,000円程度)

2期治療(12歳以降〜)

治療期間

1.5〜2.5年程度
(保定期間:2年以上)

費用

40〜80万円程度
(1期治療から継続の場合は減額あり)

※費用は症状や使用する装置によって異なります。医療費控除の対象となる場合があります。詳しくは初回カウンセリングでご説明いたします。

最適な治療開始時期

🌟理想的な開始時期:7〜10歳

過蓋咬合の治療は、永久歯の前歯が生え揃う7〜10歳頃が最も効果的です。この時期に咬合の深さをコントロールすることで、歯茎の損傷や顎関節への負担を防ぎます。

  • 奥歯の挺出をコントロールできる時期
  • 前歯の圧下が効果的にできる時期
  • 下顎の成長を促進できる時期
  • 歯茎の損傷を防げる時期

7歳での定期検診を推奨

過蓋咬合は見た目では分かりにくいことがあります。7歳頃に矯正歯科で検診を受けることで、過蓋咬合の有無を確認し、適切な治療開始時期を見逃さずに済みます。

12歳以降でも治療可能

成長期を過ぎてしまった場合でも、マルチブラケット装置とアンカースクリューを使用することで治療可能です。ただし、骨格的な問題が大きい場合は、治療が困難になることがあります。

よくある質問

Q1

過蓋咬合は自然に治りますか?

A. 自然に治ることはほとんどありません。

  • 骨格的な問題や歯の位置異常は、自然には改善しません
  • むしろ、成長とともに深くなることがあります
  • 放置すると歯茎の損傷や顎関節症のリスクが高まります

早期に矯正治療を開始することで、適切な咬合の深さを確保し、将来的な問題を防ぐことができます。

Q2

どれくらい深いと過蓋咬合ですか?

A. 上の前歯が下の前歯を3分の1以上覆うと過蓋咬合とされます。

  • 正常:上の前歯が下の前歯を2〜3mm(約1/4)覆う程度
  • 軽度の過蓋咬合:下の前歯が1/3〜1/2隠れる状態
  • 重度の過蓋咬合:下の前歯がほとんど見えない、または歯茎を突いている状態

重度の場合は早急な治療が必要です。矯正歯科での診断を受けることをお勧めします。

Q3

バイトプレートは痛いですか?

A. 痛みは少なく、主に違和感や圧迫感程度です。

  • 装着時の違和感:最初は話しにくい、食べにくいと感じることがあります
  • 慣れるまで:1〜2週間で慣れることがほとんどです
  • 奥歯の違和感:奥歯が伸びる過程で軽い違和感を感じることがあります

ほとんどのお子様は数日で装置に慣れます。違和感が強い場合は調整できますので、ご相談ください。

Q4

歯茎が傷ついているのですが治療は急いだ方がいいですか?

A. はい、できるだけ早く治療を開始することをお勧めします。

  • 歯茎の退縮:下の前歯が歯茎を突き続けると、歯茎が下がり、歯の根が露出します
  • 炎症:歯茎が傷つくと、炎症を起こして痛みが出ることがあります
  • 早期治療が重要:歯茎の損傷が進む前に治療を開始すべきです

歯茎が傷ついている場合は、緊急性が高い状態です。できるだけ早くご相談ください。

Q5

過蓋咬合は顎関節症の原因になりますか?

A. はい、過蓋咬合は顎関節症の大きなリスク要因です。

  • 顎関節への負担:咬合が深いと、顎関節が圧迫されて負担がかかります
  • 症状:顎の痛み、口が開きにくい、顎からカクカク音がするなど
  • 予防:早期に過蓋咬合を治療することで、顎関節症を予防できます

成人してから顎関節症が発症すると治療が困難です。子どものうちに過蓋咬合を治療することが、将来の顎関節症予防につながります。

Q6

過蓋咬合の治療は難しいですか?

A. 垂直的なコントロールが必要なため、専門的な技術が必要です。

  • 垂直的なコントロール:歯を上下方向に動かす必要があり、技術と時間が必要です
  • 早期治療が有利:成長期に治療を始めれば、効果的にコントロールできます
  • 経験豊富な矯正歯科で:専門的な知識と経験が必要な治療です

過蓋咬合の治療は専門的な技術が必要ですが、適切な時期に適切な治療を行えば、良好な結果が得られます。当院では豊富な経験をもとに対応いたします。

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