こどもの不正咬合の種類
7つのタイプとその特徴
お子さまの不正咬合のタイプを知り、適切な治療時期と方法を理解しましょう
不正咬合とは?
不正咬合(ふせいこうごう)とは、歯並びや咬み合わせが正常な状態からずれている状態のことです。見た目の問題だけでなく、お口の機能や全身の健康にも影響を与えます。
見た目への影響
コンプレックスの原因となり、笑顔に自信が持てなくなることも
機能への影響
咀嚼(そしゃく)や発音に問題が生じ、消化不良や発音障害の原因に
健康への影響
虫歯や歯周病のリスクが高まり、顎関節症の原因にもなります
主な不正咬合の種類
1上顎前突(じょうがくぜんとつ)
通称:出っ歯(でっぱ)
特徴
上の前歯が前方に突き出している状態です。上顎全体が前に出ている場合と、歯だけが前に出ている場合があります。
- 口が閉じにくく、口呼吸になりやすい
- 前歯で噛み切りにくい
- 転倒時に前歯を折るリスクが高い
主な原因
遺伝的要因:顎の骨格が遺伝
悪習癖:指しゃぶり、舌で前歯を押す癖
治療開始の適齢期
6〜8歳が最適。上顎の成長をコントロールし、下顎の成長を促すことで、バランスの良い骨格に導きます。
2下顎前突(かがくぜんとつ)
通称:受け口(うけくち)、反対咬合
特徴
下の前歯が上の前歯より前に出ている状態です。下顎全体が大きい場合と、歯の傾きだけの問題の場合があります。
- サ行、タ行の発音がしにくい
- 前歯で食べ物を噛み切れない
- 顔貌(しゃくれ)が気になる
主な原因
遺伝的要因:下顎の過成長、上顎の劣成長
悪習癖:舌の位置が低い、口呼吸
治療開始の適齢期
3〜5歳が最適。早期に治療を開始することで、骨格的な問題を予防できます。放置すると手術が必要になる場合もあります。
3叢生(そうせい)
通称:ガタガタ、八重歯(やえば)
特徴
歯が重なり合ったり、でこぼこに並んでいる状態です。顎のスペースが不足していることが原因です。
- 歯磨きが難しく、虫歯や歯肉炎になりやすい
- 食べ物が挟まりやすい
- 見た目が気になる
主な原因
顎の発育不足:歯が並ぶスペースが足りない
歯のサイズ:歯が大きく顎が小さい
治療開始の適齢期
6〜9歳が最適。顎を拡大してスペースを作ることで、永久歯が正しく並ぶように導きます。
4開咬(かいこう)
通称:オープンバイト
特徴
奥歯を噛み合わせても、前歯が閉じず、上下の前歯の間に隙間ができる状態です。
- 前歯で噛み切れない
- 発音(特にサ行、タ行)に問題が出やすい
- 口呼吸になりやすい
主な原因
悪習癖:指しゃぶり、舌を出す癖
口呼吸:常に口が開いている
治療開始の適齢期
4〜6歳が最適。悪習癖の改善(MFT)と装置治療を組み合わせることで、早期に改善できます。
5過蓋咬合(かがいこうごう)
通称:ディープバイト
特徴
上の前歯が下の前歯を深く覆いすぎている状態です。正常な咬み合わせでは、上の前歯が下の前歯を2〜3mm覆いますが、過蓋咬合では下の前歯がほとんど見えません。
- 下の前歯が上顎の歯茎を傷つけやすい
- 顎関節に負担がかかりやすい
- 笑った時に歯茎が見えやすい(ガミースマイル)
主な原因
骨格的要因:上顎が下顎より大きい
歯の萌出異常:奥歯の萌出不足
治療開始の適齢期
7〜10歳が最適。成長期に奥歯の咬み合わせを改善することで、前歯の深い咬み合わせを解消します。
6交叉咬合(こうさこうごう)
通称:クロスバイト
特徴
上下の歯の咬み合わせが横にずれている状態です。片側だけの場合と、前歯部分だけの場合があります。
- 顔が左右非対称になる可能性
- 顎がずれて顎関節症のリスク
- 咀嚼効率が低下
主な原因
上顎の幅が狭い:顎の成長不足
悪習癖:片側だけで噛む癖
治療開始の適齢期
5〜8歳が最適。早期に上顎を拡大することで、骨格の非対称を予防できます。
7空隙歯列(くうげきしれつ)
通称:すきっ歯
特徴
歯と歯の間に隙間がある状態です。特に上の前歯の間に隙間がある場合を「正中離開(せいちゅうりかい)」と呼びます。
- 発音(特にサ行)に影響が出やすい
- 見た目が気になる
- 食べ物が挟まりやすい
主な原因
顎が大きい:歯のサイズに対して顎が大きい
悪習癖:舌で前歯を押す癖
治療開始の適齢期
8〜10歳が最適。乳歯の場合は自然に閉じることもありますが、永久歯の場合は矯正治療が必要です。舌の悪習癖がある場合はMFTも併用します。
複数のタイプが併発することも
多くのお子さまは、複数の不正咬合が組み合わさっています。例えば、「出っ歯」と「叢生」が同時にある、「受け口」と「交叉咬合」が併発している、といったケースです。
- 上顎前突 + 叢生:出っ歯で歯並びもガタガタ
- 下顎前突 + 交叉咬合:受け口で横にもずれている
- 開咬 + 叢生:前歯が閉じず、歯並びもでこぼこ
重要:複数の不正咬合が組み合わさっている場合、治療の優先順位や方法が変わります。精密検査を行い、お子さま一人ひとりに最適な治療計画を立てることが重要です。
よくある質問
どのタイプの不正咬合が最も治療が必要ですか?
A. すべての不正咬合が治療対象ですが、特に早期治療が重要なのは以下の3つです。
- •下顎前突(受け口):3〜5歳で治療開始が理想。放置すると骨格的な問題が悪化し、手術が必要になる場合も
- •開咬:4〜6歳での悪習癖の改善が重要。放置すると顎の骨が変形します
- •交叉咬合:5〜8歳で治療開始。顔の非対称を予防できます
重要:これらは骨格的な問題に発展しやすいため、早期発見・早期治療が非常に重要です。
複数のタイプが混在している場合、どうすればいいですか?
A. 複数の不正咬合が併発している場合、優先順位をつけて治療を進めます。
- ✓まず骨格的な問題から:受け口や交叉咬合など、骨格に影響する問題を優先
- ✓次に歯の問題:叢生や上顎前突などの歯列の問題を治療
- ✓悪習癖の改善も同時進行:MFTで根本原因を解決
精密検査を行い、お子さまの状態に合わせた最適な治療計画を立てます。一度にすべてを治療するのではなく、成長に合わせて段階的に治療を進めます。
自宅でチェックできる方法はありますか?
A. 以下のセルフチェックリストで、お子さまの歯並びを確認してみましょう。
セルフチェックリスト
- □口を閉じた時、下の前歯が上の前歯より前に出ている
- □奥歯を噛み合わせても、前歯が閉じない
- □上の前歯が大きく前に出ている
- □歯が重なり合っている、ガタガタしている
- □歯と歯の間に隙間が多い
- □噛み合わせが横にずれている
- □常に口が開いている、口呼吸をしている
注意:1つでもチェックがついた場合は、早めに歯科医院での診察をお勧めします。
不正咬合は遺伝しますか?
A. 不正咬合には遺伝的要因と環境的要因の両方が関係しています。
遺伝的要因(約30〜40%)
- • 顎の骨格のサイズや形
- • 歯の大きさ
- • 歯の本数(先天欠如など)
環境的要因(約60〜70%)
- • 指しゃぶり、舌癖などの悪習癖
- • 口呼吸
- • 食生活(硬いものを噛まない)
遺伝的要因がある場合でも、早期に治療を開始すれば、成長をコントロールして問題を最小限に抑えることができます。また、環境的要因は改善可能です。
いつ歯科医院を受診すべきですか?
A. 日本矯正歯科学会では、「7歳までに一度、矯正歯科医の診察を受けること」を推奨しています。
- 3〜5歳:受け口、開咬などが見つかった場合はすぐに受診
- 6〜7歳:前歯が生え変わる時期に一度チェック
- 何か気になることがあればすぐに:「様子を見ましょう」と言われても、セカンドオピニオンを受けることも大切
当院では:初回相談は無料です。お子さまの歯並びが気になる場合は、お気軽にご相談ください。